ヒノキの製材見学

昨日は寒かったですね。ペットのヤギさんもでっかいお尻を小刻みに揺らしながら、喜んでいるのかと思いきや、震えていました。さて今日は ヒノキの製材 を見学するために、安芸市の山和木材さんへ。

製材所に到着
山和木材

家具に使う材料 ヒノキの製材 工程を見学

山和木材さんでは、家具の材料になるヒノキの一枚板を仕入れています。ってこれだけだと抽象的で分かりずらいですよね。。具体的には例えばこの【ヒノキのチェスト】の引き出し部分は、この山和木材さんの材料を使っているのです。あくまで、引き出しの部分だけです。

なかよしライブラリー ヒノキのチェスト
ヒノキのチェストの引き出し部分に使用しています。

そう、同じヒノキの一つの家具ですが、本体の枠と、引き出しでは材料の提供先が異なります。今日の紹介はあくまで「引き出し」オンリーです!!

そもそも製材所って何をするところ?ってことも分からない部分だと思います。正直なところ僕も最初は分かんなかった。木を山から切ってくるところ?それとも加工だけしているところ?家を建てているところ?はて。。。。

製材所とは、木を丸太をいろんな製品に加工するところ

製材所の中
山和木材さんの内部 広さが伝わらない写真でごめんなさい (笑)

ズバリ言います。製材所とは、山から伐採した木を、丸太を板にしたり輪切りにしたり、建築部物の柱にしたり、鴨井や敷居(日本建築には使われています)などの製品にするところです。ざくっとお伝えしますが、本当はこの中でも、ヒノキや杉をメインで取り扱っていたり(高知県はほぼヒノキや杉がメイン)、岐阜県の方に行くと広葉樹(ナラやケヤキや桜等)専門で製材していたりします。とにかく大きな敷地が必要ですね。工場も巨大化。。

そして最近は建築物の設計にも幅広く

柱や梁といった建築部材を加工するので、家もまるごと建てられちゃう!!ってのが製材所の強みなのかなぁって最近では思います。山和木材さんでも、高知のお仲間の製材所さんでは製材業+建築業をされているところも多くて、建築士の資格もみんな持っていたり。そりゃ、材料も持っているから、家もできますよ。って自然な流れですもんね。

製材所の作る家

ハウスメーカーさんにお願いするよりも、お値打ちで良質な家が建てられるかもしれません。【写真をクリックすると山和木材さんの外部ページへ】

今日のお目当ては丸太→板にするところ

話が脱線しましたが、今日の目当てはなかよしで使っている材料がどんなふうに出来上がるかというところです。早速見て見ましょう。

乾燥済みのヒノキの丸太
ヒノキの丸太、乾燥済み

この状態というのが、山から伐採、または木材市場で競り落としたりして、山和木材さんにやってきます。まずは皮をはぐという工程がありますが、今日は皮も接ぎ終わって、2年間の天然乾燥も経ての、まさになかよしライブラリーのための材料を用意してくれていました。3分クッキングの「既に茹で上がったものがこちらに。。。」の状態ですね。ちなみにこの丸太は樹齢80年程だそうです。

ただ丸太を切るだけじゃない、目利きも大切な仕事

ヒノキの丸太。製材前準備

この丸太を専用の【台車】になるものに乗せます。この時ただ乗せればいいというものではなく、どう切れば、一番板が広く、そして割れが少なく済むのか。ということを瞬時に判断して、2人一組で方向を回転させて変えていきます。

ヒノキの丸太。カット前
亀裂が入っている丸太

向きを変えてみるとこんな感じ。亀裂が入っています。伐採した木を2年間自然乾燥させますが、その際にこうして割れていきます。これも自然の原理。そして、この割れが木の内部まで通っているのかを見極めながら、そして出来るだけ幅広く取れる方向にセットしたら、ようやく切断です。

なかよしライブラリーは自然乾燥されたヒノキにこだわって使用しています。 自然乾燥のメリットは、色ツヤを保持できることです。反面、2年という長期にわたる乾燥期間を見ておく必要があり、場所も取ることです。また表面割れなどのトラブルがあり、家具としてかけある部分は多くありません。

なので板一枚一枚が貴重なんです。

余談でしたので、話を戻します…

台車が進むことで帯鋸(オビノコ)が切断してくれる

ヒノキの製材。カット開始
いってらっしゃい!!

こんな大きな丸太を切る時、大変だろうなと思いますが、【台車】が進行方向に進むことで、その先には帯鋸(オビノコ)という歯があり、それが安全にカットしてくれる仕組みになっています。

見えますかね?写真の赤いレーザーのライン。あれはこの線で切りますよっ!って印です。帯鋸の刃に向かって真っすぐ伸びています。行ってらっしゃい!!

ヒノキの製材。帯鋸版で丸太をカット

こんな風にして、決めた寸法通り、スライスしてくれて、一枚の板が仕上がっていくわけですね。ここで、カットされたとても奇麗な木の表面を見て見たいと思います。丸太からでは見えない、美しい木目です。そして、カット仕立てのヒノキはなんともいい香り**

ヒノキの製材。丸太から見えない美しい木目
ヒノキの美しい木目が登場です。

どわ~っ!!めちゃめちゃきれいだ!お美しい(*‘∀‘)笑 拝みたくなるほどの奇麗さですね***

これが最終的になかよしライブラリーの子ども家具の【引き出し】に使われるのです。この工程に至るまで、伐採から約2年半を要しています。人の手が人の手が。。。かかりまくっているんです。

量販されている集成材(木を寄せ集めて接着した材料)や樹齢の浅い30年程の木を使わず、しっかりと目の詰まった、乾燥された良材だけを選りすぐって使っていることがお分かりいただけると思います。

さらに、スライスは続き。。。。

徐々に丸太の【芯】に近い方に寄っていきます。ここで、木のクイズ。

木は、丸太の外側(皮に近い方)と内側(芯に近い方)のどちらが最初に出来たでしょうか??正解は。。。

心材(芯に近い方)の方が最初に組織構成され古い木です。

ヒノキの製材。芯材にあたる部分
ヒノキの心材に当たる部分。

上の写真のように、丸太の中心に行けば行くほど、柾目(木の外側の真っすぐな木目)の構成が多く、板目(中央の渦上の模様)が少なくなっていきます。そして、ところどころに(フシ)も見え隠れしていきます。

実はこの様子を見るだけで、その木の歴史が見えるのです。つまりはこういうこと。

木目を見るだけでその木が辿ってきた歴史が分かる?

https://wooden-toy.net/cms/wp-content/uploads/2020/02/DSC_1237-scaled.jpg
山和木材

解説】ちょっと分かりやすいように昔話風、木のお話を作ってみました。ではどうぞ。

むかし、むかしある所に(大体昭和初期)、そうじろうさんという山師がおりました。そうじろうさんは毎日裏の山に登ります。裏の山には5年前に村の森林組合のみんなで植えた、(植林)まだ細くてひょろ長い、ヒノキの若木がたくさん植わっています。ヒノキの若木は今日も暖かな光を浴びて、太陽が向く方向に向けて枝を伸ばし続けています。

そうじろうさんは「そろそろ枝が伸びてきたので切っとこかね」ということで、ヒノキの若木群にまんべんなく太陽の光が当たるように枝を器用に切り落としていきます。(枝打ち)「お~お~今日もええ仕事しよる。そういや近々日本も戦争になるんかもしれん心配やわ。。」とか多分考えながら。知らんけど(笑)

そうじろうさんは知っています。この木が、あと70年もすれば大木になり、今はまだ知らない、何かに役立つことを。

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山和木材

解説】つまり、この枝打ちという作業をすることで、木にまんべんなく光が当たり、順調に成長していきます。そうじろうさんが枝打ちしてくれたお陰で、こんなに立派なヒノキが出来たのです。木の内部を見た時に【ところどころに節が】の一文には、しっかり人の手で手入れをされた木だという証拠が残っているのです。時間と共に木の径は大きくなりますから、徐々に中の方に隠れてしまいます。

続き)こうして毎日山に入り、枝打ちや山の管理をするそうじろうさんも70歳を過ぎてきました。「もう山には入れんな、手入れした木は大きくなって、若木だったヒノキ群は1本1本が大きく成長して、あの森の木は立派に成長した。そろそろ引退かな」なんて。

https://wooden-toy.net/cms/wp-content/uploads/2020/02/DSC_1237-scaled.jpg
山和木材

解説】木がある程度の大きさになると、枝打ちの頻度も少なくなってきます。そして、下の方から徐々に大きく、太く枝の付かない木が成長していきます。最初のこの写真は木の皮に近い方をカットしているため、比較的若い組織です節が全くないところを見ると、この時には周りの木もある程度育っていて、森には光がほとんど入っていなかったのでしょう。

ヒノキの製材。切断面から見える美しい木目

はい。以上そうじろう物語は一瞬で完結しました。(笑)

がしかし!!いかがでしたでしょうか。木を見るだけでその木がどんな歴史を辿ってきたのかが、想像できるって。。。楽しくないですか?それは僕たちが生まれる前の、戦前の話かもしれません。

そして、もう一つ大事なこと。今この山師さんはとても数が少なく、日本の森林は荒れている。。ということ。この現実も踏まえたうえで、以下を書きます。

歴史ある木を大切に、次世代につなぐことが私たちの役目

ヒノキの製材。丸太をスライスした状態
下から見ると美しい木目は見えない。

普段、なかよしライブラリーで使っている木は、丸太をスライスした、当たり前のようにきれいな状態です。でもこの美しさは当たり前ではなく、先代の山師さんが、来る日も来る日も枝打ちをしてくれて、丁寧に育ててくれたからこそ、節の無い良材が使えるわけです。

木が使える、木が家にある。国産材で家具が作れる。これだけでも山に感謝しないと。ですね。ありがたやありがたや。

見た目は老いてシワも出てきますが、暴風雨にさらされながらたくましく育った木の中身は、洗練され雑味の無い味が出て、きれいに正しく成長してきた様子が見えます。何だか人の人生のよう。

なかよしライブラリー
山和木材さんと一緒に

そんな木を、私たちなかよしライブラリーは人の手で加工し、これから、長い人生を送るであろう、子どもたちやその家族のために作ります。国産材を使うことは、日本の木材の需給率(今は40%程)をあげることだけでなく、先人たちが作り上げてきたものに、さらに価値を付けて使い続けることに本当の意味があるように思います。

★国産材と輸入材

取材協力いただいた、山和木材さんありがとうございます。

なかよしライブラリーの子ども家具に使う材料の製材工程を録画して来ました。なかよしで使っている材料がどんなふうに出来上がるかご覧ください。