決算報告【19期の結果と今後について】

決算報告【19期の結果と今後について】

株主の皆様へ


いつもご支援いただき、誠にありがとうございます。


父から会社を継承して、早いもので10年目を迎えることができました。これはひとえに、株主の皆様のご支援とお客様からのご愛顧の賜物であり、心より感謝しています。

経営の素人だった私にとって、最初の3年間は毎日が学びの連続でした。資金繰りに奔走し、銀行残高に一喜一憂しながら、どうすれば安定して注文が入るのかを模索する日々。その中で社員が増え、販路が定まり、経営のステージが一段ずつ変わっていきました。

やがて、自分一人で担っていた業務を人に任す必要性が生まれ、チームづくりの難しさを実感する中で、数多くの出会いと別れを経験してきました。そしてようやく、個人事業の延長線から、組織としての「歯車」が回り出したのは、ここ最近のことです。

この10年余りを一言で表すならば、「がむしゃら」だったと思います。前だけを見て、ただ走り続けてきました。しかし今、20期目を迎えるにあたり、散らかった工具箱のような未整理な部分ややり残しと向き合いながら、組織としての土台づくりを進めていく段階にあると感じています。

今期のテーマは「創業3.0」。父が会社を立ち上げた1.0、私が引き継いだ2015年が2.0、そして2025年の今、3.0として新たにスタートを切ります。より強く、より持続可能な企業へと進化するための一年にしていきます。


決算概要

売上は順調に推移し、前年比で約8.5%の増収となりましたが、各種コストの上昇と先行投資の影響により、大きな営業損失および純損失を計上する結果となりました。

売上高:417百万円

営業損失:△32百万円

当期純損失:△37百万円

年度 売上高(百万円) 前年比(%)

営業利益(百万円)

2023年2月(17期)

333


1
2024年2月(18期) 384

15%増

7
2025年2月(19期) 417 8%増 △32

営業損失の主な要因

人件費・原材料費・広告宣伝費などのコスト上昇に加え、販路拡大のための支出が重なり、費用全体が増加しました。製造・販売の効率改善が今後の課題です。

財務状況について

資産全体は堅調に推移しており、設備投資・資材調達などによる借入金も増加しています。利息負担も含め、今後はバランスシートの改善にも注力していきます。

配当・株主プレゼントについて

今期は大幅な赤字につき、株主配当、株主プレゼントは提供できません。毎年楽しみにいただいている株主の皆様には大変心苦しいご報告となり、反省しています。なかよしライブラリーとして20期目は必ず黒字に転換させ、今期は良いご報告ができるように致しますので、何卒ご理解いただけますと幸いです。

 

今期の取り組み

原価管理と業務効率の徹底

2025年8月18日~製造工場の統合を行います。現在、高知と香川にそれぞれ家具と玩具を製造する工場があります。この工場を香川の拠点へ統合します。移転の理由は下記の通りです。

  1. 工場規模の拡張が可能になること。香川県の工場は廃校を利用していることもあり、敷地面積、今後の増設などを考慮すると最適な環境であること。
  2. 基幹システムの導入と浸透がスムーズ。現在社内で構築している基幹システムを軸にした製造体制の構築が拠点を集中させることで浸透が早く進む。また、社内のコミュニケーションも円滑に進みやすくなる
  3. 南海トラフ地震に対する予防策として、さらに2拠点に投資しているランニングコスト等の固定費の縮小が可能になります。

工場統合により社員には大きな負担になることも理解しています。社員の中には長く勤めてくれている方もいます。当然ながら異動できない方も多くいることも分かっていた中での拠点統合。熟練の社員が抜けるという大きなリスクを背負ってのことですが、会社を持続可能に継続していくためには今の最適解だと信じています。

そだちの積み木

ブランド力向上に向けた製品開発と販路開拓

2025年4月より、なかよしライブラリーは楽天市場への出店を開始しました。ECモールへの出店を決めた理由は、お客様の「買い物の選択肢を増やす」ことを実現するためです。これまでも多くのお客様から「楽天で購入したい」といったご要望をいただいており、それが今回の出店の大きな後押しとなりました。
ドールハウス

なかよしライブラリーの商品開発は、高品質なものづくりと、他にはない独自のデザイン性を強みとしています。今年はすでに「ドールハウス」や「そだちの積み木」「お店屋さんのレジ」などの新商品がご好評をいただいており、好調な滑り出しとなっています。

今後はさらに複数の新商品を発表予定です。また、関東圏での実店舗展開に向けた準備として、期間限定のポップアップショップの開催も予定しています。これにより、より多くのお客様に直接商品をご覧いただく機会を提供していきます。

さらに、2025年10月頃からは**越境EC(海外向けのオンライン販売)**も開始予定です。専用の海外向け販売サイトを立ち上げ、世界中のお客様にも「なかよしライブラリー」の魅力を届けていきます。

 

なかよしライブラリー三豊工場

顧客満足度を高める体験価値の強化

移転先の香川工場は廃校となった小学校を活用した新しい価値を創造できる製造拠点となります。校舎の体育館や教室をそのまま活用し製造の様子を実際にご覧いただける「開かれた工場」にしていく予定です。

また、校内の設備や敷地を活かし、以下のような体験型コンテンツの提供も検討しています。

  • 中庭での星を見ながらのキャンプ体験やキャンプファイヤー

  • 理科室での木工教室やキッズルームの利用体験

  • ハウス栽培でのいちご狩り体験(他社運営)

  • ラフティング等のアクティビティ。

工場見学や木工体験に加え、夜には星空の下でキャンプを楽しめるなど、廃校という特別な空間を活かした体験を提供し、既存のお客様にも新しい価値をご体感いただけるよう準備を進めています。

なかよしライブラリーの商品は小学校に入るとおもちゃや家具などからは一旦離れるご家庭が多いのも事実。それ以降に商品として繋がれるものが今はないのだとしたら、こういった体験サービスを提供することによって、商品から少し離れてもなかよしライブラリーとお客様とのつながりはできるんじゃないか。と考えています。

さらに、今年の新たな取り組みとして、ヒノキの山を購入する計画も進めています。山を所有することで、

  • 木の伐採から製材、乾燥、デザイン、製作、販売までの一貫生産が可能に

  • 伐採の現場を実際に見学できるツアーの実施や、伐採の様子をライブ配信で紹介

こうした取り組みにより、今後もお客様に「安心・安全」で、環境にも配慮した商品をお届けすることを継続していきます。

carboncredit
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数年後には森林の適切な管理によるCO₂吸収量の可視化が可能になります。これにより、カーボンクレジットの取得・活用が視野に入り、自社の製品が環境負荷を抑えた「サステナブルなものづくり」であることを証明できます。さらに、クレジットの発行・活用を通じて、環境貢献の価値を社外にも発信でき、企業の社会的責任(CSR)やブランド価値の向上にもつながると考えています。

なかよしライブラリーは、これからもお客様にとって「応援したくなる会社」であり続けるために、チャレンジを重ねながら前進してまいります。今後の活動にも、ぜひご注目ください。

なかよしライブラリー企業文化

最後に

この10年で、私たちを取り巻く環境は大きく変化してきました。実家である工場からの移転、次に香川への工場移設、そして今年は、高知工場から香川工場への統合を実施します。これは全員が一つの目標に向かって進むために必要な決断だと考えています。

会社の存在意義と自分自身の人生の目的を照らし合わせたとき、「会社とは何のためにあるのか?」と考えるきっかけがありました。
そしてたどり着いた一つの結論が、「会社は人生の目的を叶えるための存在である」ということです。

会社は、お客様や社員、株主など、関わる人にとって“有益な場所”である必要があると考えています。
そこに関わることで人が成長し、サービスを利用することで生活や考え方が豊かになる——そんな存在であるべきです。

そのためには、会社の中身を常に磨き続けなければなりません。
だからこそ、品質を高め、働きやすさを追求し、そして新しいサービスを生み出し続けることが求められているんだと思います。今年は社内向けのブランドブックも作成しました。自分たちの価値や目指す姿を再確認し、共通の方向性を持って歩むために、求心力を高めるためのものです。

これからもワクワクするような未来をともに創造し、「応援したい!」と思っていただける会社を目指して頑張っていきます。

皆様今後とも、変わらぬご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社なかよしライブラリー
代表取締役 濱田 創

 

 


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Name: そう
Role: 代表取締役
Origin: 高知県
Favorite location: 高知工場・本社
Favorite tree: 庭に植えているトチの木とケヤキ
Favorite word: 革新的な思考を考えるより古い思考を捨てること
ブログは自分が日々思うことをツラツラと書き綴っていますので、とっても暇な時に見て下さい。家族は3人。ペットは庭の除草をしてくれるヤギを飼っています。築130年の古民家で暮らしています。